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せっつ女性大学2013

   入学記念講演

松井久子の生きる力 ~命をつなぐものとして~

2講目 “もしも”に備える自分力・地域力

 

阪神淡路大震災を機に発足した日本災害救援ボランティアネットワークの理事米山清美さんは、東日本大震災後、毎月岩手県の野田村に出向き、子どもたちの日常である遊び場の復活を通して復興をサポートしています。また、「にしのみや遊び場つくろう会」の代表でもあり、野田村と西宮の子どもたちとの交流を通じた支援も続けておられます。この講座では、子どもが安心して育つ場があることが、親を含めた周りの大人たちの力となることを学びました。「誰かとつながること、そして、私に何ができるかを考えること。何もできなくても言いだしっぺになることはできるから・・・」そんなお話を伺いました。

受講生の感想より

・地域との関わり、そして行動すること、相手に気づき、気遣い、寄り添うことの大切さを学びました。

・震災下で子どもが置かれている環境を改めて知りました。プレーパークの存在が子どもにとってとても大切な場所。見えない部分が見えてとても勉強になりました

・身近なところから積極的に行動する、そのことが大切な力となることを感じました。

・防災のことを違う視点から知ることができました。また、子どもの「遊び」について少し考えてみようと思いました。

日時 7月23日(火)午前10時~12時
講師 米山清美(NPO法人日本災害救援ボランティアネットワーク)

3講目 防災ワークショップ/交流会

 

 

避難所運営ゲームHUGを体験しました!

HUGは、H(hinanzyo避難所)、U(unei運営)、G(gameゲーム)の頭文字を取ったもの。英語で「抱きしめる」という意味で、避難所運営をみんなで考えるためのアプローチとして静岡県が開発したものです。
世界有数の地震国である日本。いつどこで大地震が発生しても不思議ではありません。地震発生時、家屋の倒壊や津波、火災、がけ崩れなどで、被災した多くの人たちが避難所での生活を強いられることになります。
あなたが避難所の運営をしなければならない立場になったとき、どう対応すれば良いのでしょうか。HUGを通して、災害時要援護者(高齢者、妊産婦、乳幼児や障がいのある方)への配慮をしながら部屋割りを考え、炊き出し場や仮設トイレの配置などの生活空間を確保し、視察や取材対応といった出来事に対応するなど、避難所で起こるさまざまな出来事に対して、自由に意見を出しあい話し合いながら、ゲーム感覚で避難所の運営を学びました。

受講生の感想より

・リーダーや運営する側にたつ人の大変さがわかりました。

・ペットと一緒に避難されてきた方の対応に悩みました。ペットは家族と同様で一緒に・・・でも・・・。

・高齢の方や障がいの方など支援の必要な方に対して、家族だけではなく、みんなで助け合えるようなしくみを考えることが大事ですね。

・トイレの問題は深刻です。不衛生にならないようにどう管理するか、また、防犯のことも考える必要がありますね。

日時 8月20日(火)午前10時~12時
講師 市防災管財課

4講目 日本の男女平等度は世界の中で101位

 

ジェンダーとは一般的に「社会的・文化的性差」、いわゆる「女らしさ/男らしさ」の「らしさ」といわれるものです。また、ジェンダーによる差別とは、「男女」や「性」の役割について固定的な観念をもつことや、社会の女性に対する評価や扱いが差別的であることです。例えば、男性は外で働き、妻子を食べさせるのが当たり前。女性は家事をこなし、子育てするのが当たり前・・・本当にそうでしょうか? 日々の暮らしの中で感じる疑問や違和感に敏感になり、おかしいと思うことには、きちんと声をあげていくことが大事です。社会の中で女性がどんな立ち位置にいるのかを知り、女性ももっと主体的に、意思決定の場に参画していく必要があることを学びました。

 

!(^^)! ふり返りでこんな意見がでました !(^^)!

・「ジェンダー」という言葉を聞いて何年になるのか。改めて「おかしい?」と感じることを言葉にしていきたいと思いました。

・今まで考えたことがない(学んだことがない)ことばかりで、気がついた(知った)ことがたくさんありました。法律や政治についても勉強になりました。

・世界と日本での女性の立ち位置を認識できました。法律のことも少し興味がわきました。

日時 9月10日(火)午前10時~12時
講師 谷口真由美(大阪国際大学現代社会学部教員)

5講目 いざという時にガマンしない!
~コミュニケーション力アップ~

一人ひとりが人権を尊重し、互いの多様性を認め合うことのできる、暴力のない社会づくりをめざし、学校や企業などさまざまな所で、講演やワークショップを行っている北野さん。学校で出会う子どもたちのことや、子どもたちを取りまく社会についてなど、具体的に例をあげながらわかりやすく、お話いただきました。
コミュニケーションで大事なことは、聴くこと。心を相手に向け、からだ全体で共感を表しながら聴く。さまざまな意見や考え・価値観の違いを認め合い、自分の気持ちと相手の気持ちをキャッチボールし合うことです。そのためには、「わたし」が主語になる形での「わたしメッセージ」で表現することが大事です。人のことを語るのではなく、「わたし」がどう感じているか、自分自身の気持ちを率直に伝えるアサ―ティブな表現です。気持ちがつながるコミュニケーション力アップをめざすために、ワークシートを使いながら学びました。
 
!(^^)! ふり返りでこんな意見がでました !(^^)!
・人との話し方、聴き方等、目からウロコなヒントがたくさんありました。グローバルステートメント「みんな」「いつも」「当たり前」等結構使うので気をつけなければならないと思いました。
・役割に囚われるのではなく、自分自身の気持ちにも耳を傾けたいと思いました。また、子どもの気持ちもちゃんと聴くようにしたいです。
日時 9月24日(火)午前10時~12時
講師 北野真由美(NPO法人えんぱわめんと堺/ES)

6講目 自分に出会う・人に出会う・社会に出会う
~ジェンダーの視点から~

誰もが幸せに元気に生きるためには、①人間力②社会力③対話力~この三つの力が必要ですと語る金さん。人間力は、自尊感情(自分を大切に思う気持ち)を高めること。社会力は、人と人とのつながりを自覚的に築く、つながりの力で再構築することです。また、対話力はコミュニケーションの力、話すことと聴くことがどちらもバランスよくできることです。講座では、互いに自己紹介をし合ったり、関心のある人権問題について話を聴き合う等のワークも体験しました。良い対話の多い人間関係は人を幸せにします。正確に情報を聞きとる力、自分を主語にして語るアサーティブなコミュニケーションを意識したいものです。いざという時には、必要だな、大事だなと思うことを言う「言いだしっぺ」が必要で、また、その「言いだしっぺ」を支えるセカンドの存在も欠かせません。10講目の発表に向けて、生活に根ざした女性の経験や知恵を活かし、防災について考える「せっつ版 男女共生 防災かるた」作りに取り組みます。

最後に、今日の学びを川柳の「五・七・五」にして発表しました。
・防災は 近所の方との おしゃべりから
・ひとごとも 引き受け声出す 女性力
・良い言葉 相手も私も 笑顔だよ!
・つながれば 防災できるよ 笑顔でね
・聴く力 勉強します これからも
日時 10月8日(火)午前10時~12時
講師 金 香百合(ホリスティック教育実践研究所)

7講目 防災と復興支援に女性の参画が必要なワケ

1991年から男女平等を目指し、女性に対する暴力防止と被害者支援の活動を続けている正井さん。阪神淡路大震災を経験し、被災女性の声や思いを届けることが大事と「女たちが語る阪神大震災」を発行するなどの活動を展開。また、東日本大震災女性支援ネットワークの世話人も務めています。講座では、被災地で繰り返されるDVや性暴力の実態、女性や子ども、障害者等多様な人たちのニーズが置き去りにされた避難所運営のことなどが語られました。災害時には、女性や子ども、高齢者等の社会的に立場の弱い人たちに、より多くの困難が集中することが、統計上にも表れています。防災は特別なことではなく、日々の暮らしの延長線上にあること、生活者の視点をもった女性の声を意思決定の場に届ける仕組みづくりと、女性リーダーの育成が大切であると再認識する機会となりました。

受講生の感想より
・お話を聞き、ジャーナリズムやマスコミって何だろう? テレビでも「絆」とよく耳にするけれど、それ以前の問題で、他の人権を尊重することができているのか疑問に思いました。DVや性暴力等・・・「くさいものにフタをする」という国民性がさらに助長させているのではと考えさせられました。
・防災はもしもの時の特別な努力ではなく、いつもの生活の中で備えるということに気づきました。また、その先を考えなくてはならないと思いました。
・性暴力の多さに驚き、災害時に女性の参画がいかに大切か分かりました。
日時 10月15日(火)午前10時~12時
講師

正井礼子(NPO法人女性と子ども支援センター ウィメンズねっと・こうべ)

8講目 わたしたちがつくるせっつ防災プロジェクト(1)


【災害がおこったときの「3・3・3の法則」】を学びました。
■3分…まず、自分の生命を守ります。
■30分…一時避難所への避難を徹底し、自力での脱出が不可能な方がいるかどうかを確認します。
■3時間…体力がない方や怪我を負った方等優先順位の高い人を救助し、要援護者の安否を確認します。
■3日…すべての被災者の安否確認を完了して全住民を救出します。72時間(3日)を過ぎると生存率が大幅に低下します。
まずは自分の命を守ること、また、身近な誰かの命を守るために自分ができることをする、そして何より生きのびるために知恵を出し合い助け合うことが大事です。
そのためにも、ふだんの生活の中で、対話力を磨き、いい人間関係をつくることを心がけたいものです。対話力とは、聴く力と話す力です。大事なことは相手の言葉を正確に聴くこと。そして、相手にわかりやすい言葉で素直に話すことがポイントです。

金さんのお話の後は、「男女共生防災かるた」作りのために、考えてきた川柳を互いに詠み合い、男女共同参画の視点を伝えるためには、どんな言葉で表現すればいいのか、グループに分かれて話合いをしました。
さて、どんな読み札ができるのか楽しみです!
日時 10月29日(火)午前10時~12時
講師 金香百合(ホリスティック教育研究所)

9講目 わたしたちがつくるせっつ防災プロジェクト(2)

女性が考える防災をテーマに、様々な視点から講義を聞き、学んできました。
9講目では、内閣府男女共同参画局から平成25年5月に出された「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(概要)」を基にして、防災の中で抜け落ちやすい弱者の視点について再度確認しました。
指針には、基本的な考え方として7点があげられています。


(1)平常時からの男女共同参画の推進が防災・復興の基盤となる
(2)「主体的な担い手」として女性を位置づける
(3)災害から受ける男女の違い等に配慮する
(4)男女の人権を尊重して安全・安心を確保する
(5)民間と行政の協働により男女共同参画を推進する
(6)男女共同参画センターや男女共同参画部局の役割を位置づける
(7)災害時要援護者への対応と連携に留意する


この指針を基に、事前の備えや予防、発災直後の対応、避難所、応急仮設住宅など各段階において必要とされる取組があげられています。何より防災を考える際に、年齢や性別等に関わらず、多様な人たちが声をあげること、また、その声を反映させる仕組みづくりが必要です。
上記のことをふまえ、男女共生防災かるたの読み札にどう落とし込んでいくのかをみんなで考え、話し合いました。

 

日時 11月12日(火)午前10時~12時
講師 金香百合(ホリスティック教育研究所)

10講目 発表会/卒業式

 

 

「自分力・地域力アップ!女性が考える防災」をテーマに今年度の女性大学は取り組んできました。男女共同参画の視点で防災を考えるとはどういうことかを学ぶ中で、その背景にある、ジェンダーや固定的な性別役割分担意識に対する理解を深めました。また、女性が地域のさまざまな場面で、自分の意見をきちんと伝えることができるよう、アサ―ティブな表現やコミュニケーションについて学びました。後期では、生活に根ざした女性の経験や知恵を活かし、男女共同参画の視点で防災について考える「男女共生防災かるた」作りに取り組みました。男女共同参画と防災をキーワードに考えた川柳を持ちより、グループで話し合い、言葉の使い方や意味について考えを深めました。
10講目の発表会では、かるたの読み札とその札に込めた思いを一人ずつ前に出て発表しました。発表をうけて、防災管財課職員からは「災害に強い地域を作るためには、日頃から男女が共に防災の担い手として、責任をもって活動に参加し、意見を述べ合っていくことが大事だとあらためて認識しました」と講評がありました。今年度は19名が証書を受け取り卒業です。女性大学での学びを活かして、卒業生のみなさんが、なお一層ご活躍いただくことを楽しみにしています。

 *男女共生防災かるた読み札の一部
 ・うれしいと 自分を励まし 女性も防災リーダーに
 ・傷ついた 心に寄りそう 聴く力
 ・子どもの遊び場避難所にこそ必要

 

日時 11月26日(火)午前10時~12時